近年日本でも、職場と家族における男女の役割分業を、変化する現実に照らして是正し、「ワーク・ライフ・バランス」を推進する意味で父親の育児休業取得を目指すなど、育児休業制度の見直しが図られている。その際、2007年に「両親手当」を導入した後、育児休業を取得する父親が増えたドイツの経験が肯定的に参照されることが少なくない。本研究では1979年に施行された「母親休業」に代わり、1986年に「育児手当・育児休業」が導入される前後の社会・政治過程に目を向け、家族・育児の担い手の定義や、手当・休業が認知される論理・文脈の歴史的変遷とアクターを跡付けた。
|