研究実績の概要 |
平成二六年度は、平成二四年度と二五年度の研究を総合し、「相互依存性の哲学に基づく新たな人格論」の成果を発表するための作業に取り組んだ。昨年度の研究実施状況報告書「今後の研究の推進方策等」で予告した通り、この作業においては「フェミニズム現象学」の立場に依拠した理論的考察が中心となった。 当研究では、(1) 平成二四年度に相互依存性やケアに関する政治哲学・倫理学の研究を行い、(2) 平成二五年度には国内の当事者研究の検討を中心にその臨床的裏付けを進めた。平成二六年度には、(1) について、 (a) 独語論文が公刊された(Das Zuhause als uebersehener Ort des Denkens: Eine feministische-phaenomenologische Perspektive, in Polylog-Zeitschrift fuer interkulturelles Philosophieren 31)。また、(b) フェミニズム現象学の政治哲学の立場から現代倫理学の争点の一つである男女間の格差是正について学会発表を行った(第36回日本現象学会ワークショップ「〈男女共同参画〉と現象学」提題)。(2)については、統合失調症の人々の当事者研究で知られる北海道浦河市のべてるの家に関する英語書籍の翻訳に参加した(中村かれん著『クレイジー・イン・ジャパン:べてるの家のエスノグラフィ』医学書院)。
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