研究概要 |
ベンタム以降の功利主義者(ミル、シジウィック、ハロッド、ヘアなど)が、カントの思想をどう理解したかについて文献研究を行った。また、このテーマに関する国内外の先行研究や思想史の文献(Hare 1986, 1997; Schneewind 1977, 1997; 蔵田 1995等)を網羅的に収集し、対立の図式化と論点整理を行った。また、日本国内のカントの研究者とも対面の会合を行った。このテーマについては次年度もさらなる検討を行う予定である。なお、入門書という体裁ではあるが、本研究に基づき、以下の著作を公刊した。児玉聡、『功利主義入門--はじめての倫理学』、ちくま新書、2012年7月 また、ロールズにおける義務論的発想の由来を検討した結果、フランケナの影響の重要性が示唆された。この研究については、関連する研究会で報告するとともに、以下の論文を公刊した。児玉聡、「功利主義批判としての「善に対する正の優先」の検討」、『社会科学研究』、64(2):49-72 (2013年3月) さらに、関連する国内・国際学会に参加し、公衆衛生や大規模災害における倫理について、功利主義的な見地からの報告を行った。それに基づき、論文として以下のものを公刊した。児玉聡、「功利主義と公衆衛生」、『法哲学年報2011』、有斐閣、7-22頁 (2012年10月)。Satoshi Kodama, `Tsunami-tendenko and morality in disasters', Journal of Medical Ethics, (Online First, March 2013).
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