本年度の主たる成果は、メタ存在論における反実在論的アプローチの代表例としてPragmatic Naturalismをとりあげ、その内容を明確化すると共に問題点を指摘したこと、および、Pragmatic Naturalismのもとで複数のディスコース間の統合がどの程度要請されるのかという問題について検討を進めたこと、の2点である。前者については「「プラグマティックな自然主義」と3つの課題」『思索』第47号(2014)、および、「物語り論的アプローチによる自由意思擁護論証の再検討」『一橋社会科学』(2015/別冊)にそれぞれ論文の形で収録されている。
研究期間全体の成果としては、従来それほど研究が進んでいなかったメタ形而上学における反実在論的アプローチについて類型を拡張すると共に、複数の実例に基づきながら洗練化を進めることができた。なお、反実在論的アプローチ全体の優位性については十分に示すには至らなかったものの、その根拠と対立見解との争点について一定の見通しを得ることができ、加えて自然主義的形而上学との接続可能性を示すこともできた。
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