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2014 年度 実績報告書

友敵論の系譜的再構築を基軸とした「情動のデモクラシー」に関する哲学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24720008
研究機関新潟大学

研究代表者

宮崎 裕助  新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (40509444)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードデリダ / 立法 / 友愛
研究実績の概要

本研究の最終年度である26年度の研究実績は、以下の二つの視点から、デリダにおける「情動のデモクラシー」の展開をなす根本的な諸論点を解明した点にある。
第一に「友愛」概念の系譜の再解釈。しばしばアリストテレスに帰される「おお友よ、友はいない」という言葉は、近代の校訂版によって覆されるにいたった。しかしデリダの再解釈が明らかにしたのは、あらゆる友愛が、死者への呼びかけとしての哀悼的構造をもち、それがむしろアリストテレスからニーチェへと至る友愛の隠された伝統を形成するということであった。本研究はその論点を明確にすることにより、死せる友たちの記憶によって共同体とその政治が形成されてきた「情動のデモクラシー」の新たな論点を示すことができた。
第二に「国家創設」行為について。本研究が、情動のデモクラシーの基礎をなす根本問題として行き着いたのは、国家や共同体を創設する立法行為の問いであった。デリダのアメリカ独立宣言論は、この問題に、ひとつの言語行為論的な説明を与えており、なおかつ、言語行為論の限界を指摘するかたちで、命名や署名の反覆可能な構造における謎を明らかにした。本研究は、この論点をあらためて追究することにより、情動の共同体を媒介する「固有名の効果」というさらなる論点への道筋をつけることができた。
上記の点に付帯する成果としては、デリダの重要だが未邦訳にとどまっていた独立宣言論を日本語に翻訳・紹介し、デリダ研究の基礎資料的な次元での貢献をすることができた。また、初期デリダの研究に欠かせない、フランスの哲学者ジェラール・グラネルの古典的なデリダ論も翻訳・紹介することができた。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (5件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 呼びかけとしての友愛、哀悼としての友愛──ジャック・デリダの友愛論におけるアリストテレス的伝統について2015

    • 著者名/発表者名
      宮﨑 裕助
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 43-2 ページ: 256-267

  • [雑誌論文] ジャック・デリダと起源の抹消2015

    • 著者名/発表者名
      ジェラール・グラネル著、宮﨑裕助・松田智裕訳
    • 雑誌名

      世界の視点──知のトポス

      巻: 10 ページ: 215-253

  • [雑誌論文] デリダ最盛期2015

    • 著者名/発表者名
      マイケル・ナース著 宮﨑裕助・島田貴史訳
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 43-2 ページ: 40-58

  • [雑誌論文] 国家創設のパフォーマティヴと署名の政治──ジャック・デリダの「アメリカ独立宣言」論2014

    • 著者名/発表者名
      宮﨑 裕助
    • 雑誌名

      思想

      巻: 1088 ページ: 64-87

  • [雑誌論文] アメリカ独立宣言2014

    • 著者名/発表者名
      ジャック・デリダ著、宮﨑裕助訳・解題
    • 雑誌名

      思想

      巻: 1088 ページ: 52-63

  • [学会発表] カントの大学論をめぐる検閲と秘密の問題2015

    • 著者名/発表者名
      宮﨑 裕助
    • 学会等名
      愛媛大学法文学部・新潟大学人文学部学術交流会
    • 発表場所
      愛媛大学法文学部
    • 年月日
      2015-03-20
    • 招待講演
  • [学会発表] Arendt on Aesthetico-Political Judgment2014

    • 著者名/発表者名
      Yusuke MIYAZAKI
    • 学会等名
      Rodolphe Gasche’s Seminar at Komaba, Univerity of Tokyo
    • 発表場所
      Komaba, Univerity of Tokyo
    • 年月日
      2014-11-25
  • [学会発表] 美的情動批判──ポール・ド・マンの美学イデオロギー論再考2014

    • 著者名/発表者名
      宮﨑 裕助
    • 学会等名
      社会思想史学会
    • 発表場所
      明治大学 駿河台キャンパス
    • 年月日
      2014-10-25
    • 招待講演
  • [学会発表] ミメーシス、エコノミメーシス──カント/デリダにおけるミメーシス論の脱構築2014

    • 著者名/発表者名
      宮﨑 裕助
    • 学会等名
      EconoMimesis R&D ワークショップ
    • 発表場所
      日本女子大学目白キャンパス
    • 年月日
      2014-05-17
    • 招待講演
  • [図書] 労働と思想2015

    • 著者名/発表者名
      市野川容孝・渋谷望 編
    • 総ページ数
      512
    • 出版者
      堀之内出版

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公開日: 2016-06-01  

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