本年度は、現代のプラグマティズムとイギリス経験論の対比により、両者に大きな類似が見られ、近代のイギリス経験論が、現代のプラグマティズムに与えた影響、そしてそのような時代を通した世界観および知識の枠組みが、われわれが世界を考えるうえでどのような手掛かりを与えてくれるかを研究した。 特に、イギリス経験論の代表者であるジョン・ロックとデカルトからヒュームにいたる観念説を終生批判し、常識哲学の祖とされるトマス・リードの議論の構造を対比しつつ、それらが現代のプラグマティズムに通じるものであること、そしてそういったしばしば対立的にとらえられる立場の哲学者たちに共通する世界観があることを明らかにしつつ、それがわれわれのものの見方を考察するうえでどのような手掛かりとなるかを明らかにした。
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