本年度は昨年度に得られたTruthmaker理論に関する研究成果をまとめて、「Can the Domains of Quantification Serve As Trutmakers?」というタイトルでシドニー(オーストラシア)にて開催された国際会議「Australasian Association of Philosophy Conference 2015」にて発表した。Truthmaker理論は、実在論的な直観を擁護するためのひとつの有力的なアプローチだと考えられているが、否定的真理について問題を抱えていることで知られている。しかし、概念合成の観点から否定的真理の問題を見直すことにより、Truthmaker理論のメタ形而上学的意義に疑念を投げかけることが可能である。この成果に基づき、否定的真理のTruthmakerとして量化のドメインを提案した。本発表は、論文の形にまとめて、来年度以降に国際氏への投稿を予定している。 また、研究協力者と最終打ち合わせを行い、本研究課題の成果をまとめた書籍作成について方針を固めることができた。分析哲学全体をメタ形而上学的観点から捉え直すことをテーマとし、本研究課題で実施したサーベイを含むものになる予定である。出版時期は再来年度中を予定している。 このほか、首都大学東京にて開催された日本科学哲学会第48回大会における発表にも本研究課題の成果が一部含まれている。その内容は、分析哲学における様々な時間論上の立場をメタ的な視点から整理したものである。
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