本研究は、三蘇父子(父蘇洵と子の蘇軾・蘇轍兄弟)の経学の関連性、及び北宋期の学術・思想情況の中における三蘇の経学の思想的位置付けを明らかにすることを目的とするものである。特に義利観(利と義の関係を問う概念)に着目して分析を行った。 北宋期の義利観は、儒家の伝統的義利観である「重義軽利」や功利主義的な義利観等が展開されていたが、三蘇は三人共に義と利を並立させる「義利一致」という義利観を提唱した。しかし、その論理構成は三者三様であった。また、政治改革・経済発展など当時の社会情勢が反映された実学的要素を持った内容であり、その点においては、他の士大夫と性格的に同質であった。
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