研究実績の概要 |
昨年度に引き続き『バガヴァティー・アーラーダナー』校訂本及び全訳作成に向けた諸作業を実行した。具体的には以下の通り: (1) 原典の解読については, ほぼ毎月に1回, 複数の研究者を招いて研究会を開催し, 研究代表者が作成した仮の校訂本を下訳に対し検討会を開催した。 (2) 当該文献の古写本の収集について, 空衣派諸寺院あるいは研究機関が所蔵する写本状況を把握すべく2014年12月23日から30日までインドに出張し、南インドの空衣派ジャイナ教に関する研究の権威である Hampa Nagarajaiah 博士(マイソール大学名誉教授)と討議の機会を持った。またマイソール大学、シュラバナベールゴーラ寺院、及び同寺院に付設された National Institute of Prakrit Studies and Research にて調査を行なった。 (3) 研究成果の発表として、3年間の研究成果の総合的な報告と今後の課題の提言を、「Bhagavati Aradhana と白衣派文献」と題し2014年10月に開催されたジャイナ教研究会で口頭発表した。また特殊な問題として、本文献に現れる戒律部分、特に不偸盗の掟を検討するために関連諸文献を調査した成果を、2014年8月に開催された日本印度学仏教学会で「ジャイナ教文献に見られる偸盗擁護論」という口頭発表を、また2014年12月に上掲 National Insitute of Prakrit Studies and Research で開催された国際学会で "Interpretation of adattadana in Jainism" と題し口頭発表した。第二の発表内容は「Haribhadraの偸盗批判」と題し『印度学仏教学研究』63巻1号に掲載された。
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