研究課題/領域番号 |
24720028
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大谷大学 |
研究代表者 |
清水 洋平 大谷大学, 文学部, 非常勤講師 (50387974)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 貝葉写本 / 上座仏教 / 東南アジア仏教 / タイ写本 |
研究概要 |
本研究は、従前の科研プロジェクト「タイ国中部地域の王室寺院が所蔵する東南アジア撰述仏教説話写本の研究」を承け、その研究課題の中で作成した同地域の寺院が所蔵する貝葉写本の文献タイトルのみを記した所在目録を改善し、国内外の研究者、研究機関の要望に的確に答え得る新たな所在目録・データベースの構築を先ず行うため、本年度は、次の整理作業を実施した。 1. タイ国中部地域の王室寺院が所蔵する貝葉写本の所在目録の作成を通じて、浮かび上がってきた個々の文献の写本資料としての資質を整理する。(例:同一タイトルの文献であってもその内容分量に異なりがあり、同一文献に複数のヴァージョンがある可能性がある。よって、十分な区分けが必要である。) 2. これらの整理作業に加えて、本年度は、①ダブリンに所在するThe Chester Beatty Library(世界各地から集められた写本を中心とする2万点以上の美術品を収蔵することで有名)、並びに②ロンドンに所在するThe British Libraryを訪問する機会を得た。従って、これらの機会を活用し、上記の整理作業を進める中で他の写本との比定確認の必要性が生じた一部の文献について、両図書館が所蔵するクメール文字パーリ語写本の中から、関連する文献写本との比定確認の作業を実施した。①では、ペンシルバニア大学のDr. Justin McDaniel准教授、中村元東方研究所の田辺和子博士の協力により実施できたものであり(2012年9月16日、17日)、②は、The British Libraryからの招聘依頼があり、同図書館が所蔵する未公開の東南アジアのパーリ語仏典写本資料について調査を行う機会を得たため、その折りに実施したものである(2013年2月15日~3月16日)。 これらの比定確認の作業により、上記の整理作業に伴う、その正確性を高めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東南アジア撰述の仏典研究に取り組む国内外の研究者、研究機関から情報の提供について多くの要請を受けている。この要請に的確に答えるには、文献タイトルのみに止まったタイ国中部地域の王室寺院が所蔵する貝葉写本の所在目録ではなく、次の3つの事項が検討、反映された所在目録を完成させなければ役立たないことを実感している。(1) 浮かび上がってきた個々の文献の写本資料としての資質を整理する必要がある。具体的には、同一タイトルの文献であってもその内容分量に異なりがあり、同一文献に複数のヴァージョンがある可能性がある。また、タイトルが様々に異なる同系統と思われる写本が多く存在する。これらについて、十分な仕分け整理を行う。(2) 現在までの調査で収集してきた約4万枚近くのデジタル画像資料を整理し、所在目録に反映させる必要がある。(3) 世に既出の所在目録との横断的な情報整理が必要である。 本年度は、(1)、(2)の整理作業を実施する予定であったが、(1)のみの整理作業に止まった。
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今後の研究の推進方策 |
上記(1)の整理作業に伴い、その正確性を高めるために、貝葉写本についての現地での比定確認作業が必要になることが予想される。この点については、既に貝葉写本文献の所蔵リストが保持されているタイ国中部地域の第一級王室寺院ワット・ポー、第二級王室寺院ワット・ホンラッタナーラーム等で確認作業を行い対応する。尚、両寺院の関係者からは既に確認調査の協力の約束を得ている。 上記(2)の整理作業については、デジタル画像化して収集したこれらの貴重な貝葉写本データについて、肉眼での判読が最適になるように画像処理を施し、写本目録とデジタル画像をリンクさせたデータベースを構築する。 上記(1)、(2)、(3)が整理された新たな所在目録・データベースを構築する作業については、研究協力者の協力を得ながら順次進めると共に、東南アジアの仏典写本のカタログ作成の第一人者であるJacqueline Filliozat女史(フランス極東学院名誉講師)から全面的な協力の申し出を受けている。同女史と緊密な連携を図り、逐次助言を受けながら作業に当たる。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記(1)の整理作業を進める中で、所在目録を改善するにあたり幾つかの問題点が浮かび上がってきた。この点について、次年度にリスボンで開催される国際会議(EuroSEAS)で報告し、多くの学者からの意見を求めたい。 本研究は、フランスやタイ国の研究者、並びに寺院僧侶の協力を得て研究を進めている。そのため、タイ国での資料確認の調査に加えて、両国に渡航して各研究者との意見交換・研究会が必要である。また、国内の先行研究者との意見交換・研究会も年度毎に計画している。 その他、所在目録に関するデータの整理や入力作業者への賃金、タイ語資料やクメール文字写本の読解に関する知識の提供、写本研究に関する先行研究者からの専門的知識の提供、並びに寺院僧侶、通訳への協力に対する謝金も必要である。
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