研究課題/領域番号 |
24720042
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京芸術大学 |
研究代表者 |
小林 亜起子 東京芸術大学, 美術学部, 助手 (00618275)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 美術史 / フランス / ブーシェ / 素描 / タピスリー / 装飾美術 / ロココ / デザイン |
研究概要 |
平成24年度においては、ブーシェによるタピスリーの下絵と関連素描のカタログの作成に必要なデータベース項目の作成を行い、画像を完備したフォーマットを決定し、すでに入手済の情報の入力作業を開始した。同時に、関連資料の整理およびファイリングを進めるとともに未収集の資料を特定し、それらを入手するための作業も実施した。 夏・秋季(9月半ばから10月はじめ)は、パリ、ウィーンおよびベルリンにおいて海外調査を行った。主にパリのルーヴル美術館とフランス国立図書館の版画・素描室において、ブーシェによるタピスリーの下絵と素描の実見調査を行い、さらにウィーンのアルベルティーナ美術館、ドイツのベルリン絵画館においてブーシェの作品を調査した。また、ウィーン王宮とベルリン王宮、ポツダムのサンスーシ宮殿、パリ郊外のヴェルサイユ宮殿およびコンピエーヌ城において、ブーシェと主に同時代の画家の下絵にもとづくタピスリーの実見調査を行った。パリのフランス国立美術史研究所を中心に資料収集の作業を進めることによって、近年刊行されたブーシェの素描や18世紀のタピスリーに関する情報を網羅的に把握することができた。 冬季(11月から3月)は、実見調査で得られた観察・所見にもとづき情報の入力作業を行った。年間を通じて資料収集とファイリング、データの入力を継続するとともに、タピスリーと下絵・素描関連の文献調査を行ない、いくつかの論文を執筆・公刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ブーシェの下絵と関連素描に関する調査作業はほぼ予定通りに進んでいる。執筆のスケジュールも順調といえる。ただし、平成25年度に予定していたフランス以外のヨーロッパの所蔵先の実見調査旅行として、ウィーンとドイツでの調査を本年度優先的に組み込む必要が生じたため(平成24年度9月から10月に実施)、24年度に実施予定であったパリの国立動産管理局(モビリエ・ナショナル)および、フランス国立公文書館での一次史料の調査については、25年度に行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
研究プロセスや調査方法について特に変更はなく、当初の予定通り計画を進める。25年度においてとりわけ重要な実施項目は、フランス以外のヨーロッパの所蔵先の実見調査旅行であるが、研究に関連する展覧会企画や業務との関係から、多少の変更が生じる可能性が考えられる。したがって、調査旅行のスケジュールは臨機応変に検討したい。また、海外調査期間が必ずしも予定通りとれない場合を考慮して、海外に所蔵される作品の写真やデータについては、国内からの収集作業も並行して行っていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は、タピスリーのための下絵や素描に関連する膨大な資料データ、文献をファイリングするために必要な文具・ファイリング用品、美術作品写真、西洋美術史関連文献の収集のために使用する。また、実見調査の際に利用する携帯用の記録用機器(コンパクト・デジタルカメラ)は、24年度に購入を予定していたものであるが、次年度の研究費を用いて新規に揃える予定である。
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