本研究は、18世紀フランスの美術愛好家の絵画コレクションの内容とその陳列室の展示空間を再構成し、当時の静物画作品の鑑賞方法と画家の作品制作との相互の影響関係を明らかにしようとしたものである。一次史料の調査と検証を通じて、先進的な美術愛好家の間で流行していた自国フランスの美術を愛好する趣味、また対作品を左右対称に配し、上方に大型、下方に小型の作品を掛ける展示習慣が、同時期の静物画家の作品形式・主題・様式に見られる傾向と連関していたことをいくつかの事例から具体的に明らかにし、新たな知見として提示することができた。
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