イタリアおよびイギリスでの古文書館調査の結果、19世紀にどのようにカルロ・クリヴェッリの祭壇画が発見され、分解・売却されたのか、独立した「タブロー」としての受容の様相を明らかにした。特にヴァチカン絵画館所蔵の祭壇画については、アスコリ・ピチェーノのサン・グレゴーリオ・マーニョ聖堂由来であることが新たに判明した。 さらに、ファブリアーノの私立文書館にて、貴族カミッロ・ラメッリの覚書を調査した結果、ウォルターズ美術館の《聖母子》が同地由来である可能性を示すことができた。 これらの調査は、マルケ地方におけるクリヴェッリ派の広がりを検証するという、次の研究課題につながる成果を挙げた。
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