宮廷画壇史という視角に立ち、18、19世紀、宮廷御用絵師の総体の、通時的な動向の把握を目的とし研究を行った。具体的には、当該期にいつ、どのような御用があったかを明らかにし、どのような絵師が画壇を構成したのか、その顔ぶれの変遷をたどることとした。また、宮廷御用への採用では選抜が行われ、そこに働く選抜原理を明らかにすることも目指した。結果、当該期の宮廷御用に参加する絵師の数は増加の一途をたどり、特にその後半期には地下官人など絵師である以前に宮廷構成員である者が増加することが判明した。採用には公卿や門跡寺院など権門との関係が大きく影響し、これまで知られていなかった絵師と権門の関わりも明らかにし得た。
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