研究課題/領域番号 |
24720056
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館 |
研究代表者 |
川畑 憲子 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, 主任研究員 (00463505)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 中国 |
研究概要 |
平成24年度は、提出した研究計画に従って以下のように研究を遂行し、実績を得ることができた。 1. 出土・螺鈿箱の調査----中国・山東省荷澤市博物館の協力のもと、九州国立博物館はもとより、東京文化財研究所、京都大学、明治大学などの研究者と協同して塗膜成分や木胎樹種について科学分析調査(ガスクロマトグラフィー、クロスセクションなど)を行い、漆や木材の産地を推定できるような極めて貴重なデータを得ることができた。これにより、これまで未解明であったおおよその制作地を推測することが可能となった。 2. 伝世・高麗螺鈿器および関連作品の調査----国内外に所蔵される高麗螺鈿器および関連作品(所蔵者:アメリカ・メトロポリタン美術館、アメリカ・個人コレクション、中国・上海博物館、中国・香港芸術館、中国・香港中文大学付属美術館、中国・個人蔵、東京国立博物館、東京・個人コレクション、京都・個人コレクションなど、計12ヶ所)について詳細に観察するとともに、撮影をおこなった。これにより、研究対象を細部にわたって比較検討するための貴重な資料およびデータを得ることができた。 3. 制作地・制作年代の再検討----1、2で得た成果をふまえて文献資料をあらためて博捜するとともに、他の遺物や他の出土事例とも合わせて検討をおこなった。これにより、高麗螺鈿の制作地・制作年代について再検討する手がかりを得ることができた。また、考察の過程で発生した課題についても、検討を深めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的は、おおむね計画通り順調に達成している。いまだ未解明である高麗螺鈿の制作技法や、制作地、制作年代などについて科学分析や伝世品との比較調査を通じて明らかにするべく、研究を遂行している。 平成24年度は、研究計画に沿って「出土・螺鈿箱の調査」、「伝世・高麗螺鈿器および関連作品の調査」を中心にすすめることができた。他機関の研究者とも共同しながら、大変貴重な成果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、提出した研究計画に従って以下のように研究を遂行したい。 1. 出土・螺鈿箱の調査----前年度での分析調査を発展させ、研究対象についての貴重なデータをさらに得ることを目指す。具体的には、科学分析(蛍光X線分析など)、類例データとの比較を計画している。 2. 伝世・高麗螺鈿器および関連作品の調査----前年度から引き続き、国内外に所蔵される高麗螺鈿器および関連作品について詳細に観察するとともに、撮影をおこなう。これにより、研究対象を細部にわたって比較検討するための貴重な資料およびデータの蓄積を目指す。 3. 制作地・制作年代の再検討----前年度までの成果をふまえて、文献資料を博捜するとともに、設定した課題について検討を深めていく。また、考察の過程で新たに派生した課題についても視座を広げ、多角的に研究をおこないたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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