近代ドイツでの鍵盤楽器音楽、奏者、教授は、時代が下るにつれ超絶技巧化していく方向で見られていた。確かにそのような側面がある一方で、当時の超絶技巧ピアニストがかならずしもその範疇では収まらない(例えばオルガニスト)活動をしていることに注目し、より豊かな鍵盤楽器奏者及び教授の諸相があったと考え調査を進めた。 そのために、これまでに研究資料の対象となっていた教則本ではなく、教授に使われた手書きの資料、教員養成学校における音楽教授資料および教会音楽家に関する一次資料、雑誌・新聞記事、音楽を教授する学校の資料を調査し、従来とは異なる多様な鍵盤楽器奏者や教授のあり方を明らかにできた。
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