研究課題/領域番号 |
24720063
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
岡田 恵美 琉球大学, 教育学部, 講師 (60584216)
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キーワード | インド北東部 / ナガ / 音楽祭 / 文化的アイデンティティ |
研究概要 |
昨年度は研究の初年度ということもあり、インド北東部における音楽文化の概観を捉えることに始終したが、今年度は、研究調査対象をナガランド州のナガ族の音楽文化に限定することによって、密度の濃い、より充実したフィールド調査を年度内に2回実施することができた。 25年8月にはナガランド州のディマプールとコヒマの2都市を中心に、州政府のミュージック・タスクフォース(文化政策・音楽振興政策)の代表者や地元の音楽家・音楽学校経営者、教会音楽関係者など多数のインフォーマントにインタビューを行いながら、ナガランドの音楽文化の現況の調査を行った。ナガ族は、州民の9割以上がキリスト教徒であり、その一方、州政府が公認するだけでも16の部族に分かれているが、コヒマのような都市においても、各部族のバプティスト教会が部族コミュニティの中心として機能し、都市文化と部族文化が共生していることがわかった。 また近年州政府は、紛争地域という従来のイメージを払拭すべく、豊かな部族文化を観光資源として活用し、また若者への音楽活動支援を通じて、地域振興政策に注力している。25年の12月には州政府主催のホーンビル・フェスティバルを取材し、若者達が集まるコヒマの音楽祭を通して、「部族として」そして「ナガとして」の文化的なアイデンティティが音楽やその活動にどのように表象されているかを調査した。そして、同地域での音楽祭がその形成に媒介的な機能を多分に含んでいるかが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に研究対象の絞り込みを計画し、本年度はそれに従って充実したフィールド調査の実施が可能となったため。これによって、来年26年度からの成果発表をスケジュール通りに行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
26年度は、これまでの調査結果をまとめ、少なくとも国内の二つの学会(南アジア学会および東洋音楽学会)で発表を行い、ナガランドの学会誌にも論文投稿を行う。 また調査映像の編集作業を行い、27年1月募集締切の英国王立人類学研究所主催の14th RAI International Festival of Ethnographic Film(第14回RAI国際民族誌映画祭)に30分程度の学術映像作品として出品する。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度に発注が間に合わなかった書籍代等が、未使用額として発生した。 今年度の未使用額は、来年度の旅費に充当する。
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