26年度は、インド・ナガランド州にて2回(8月及び2月)の現地調査を実施した。前年までの調査や培った人脈を活用して、新たに現地の民族音楽学者や音楽メディアクリエーター、ミュージシャン、政府関係の文化振興政策担当者、音楽教師などに直接インタビューを行うことが出来た。 研究成果は、タイトル「ナガランド州コヒマの音楽祭:部族文化の再生と若者への音楽振興政策」として約37分の映像にまとめ、9月に開催された日本南アジア学会大会にて、映像発表として上映された。2014年は、インパール作戦から70周年であり、第2次大戦や独立紛争といったナガランドの歴史や概略を辿った上で、今日のナガ社会が抱えている教育機関や地元産業の不足、若者の流出といった問題を取り上げた。そして、近年の州政府による、観光産業や音楽産業の発展のための基盤整備に注目し、インフォーマントへのインタビューから、ナガランドの従来の紛争地域というイメージを払拭すべく、ナガの豊かな部族文化を観光資源として活用し、また若者への音楽活動支援を通じて地域振興政策に注力している取組みを紹介した。 映像では、現在のナガの音楽文化を形成する、部族音楽、教会音楽、ポピュラー音楽を対象として、ナガの若者達が集う3つの音楽祭に焦点化し、2000年代の後半以降に増加を続ける音楽祭や音楽コンテストが、ナガの音楽文化に与えている影響について考察した。
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