研究課題/領域番号 |
24720064
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
葛西 周 東京藝術大学, 音楽学部, 講師 (00584161)
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キーワード | 音楽学 / 映画研究 / 植民地表象 / 日本 / 台湾 / 朝鮮 / 満洲 / 国際情報交換 |
研究概要 |
映画および映画音楽についての言説分析を重点的におこなった昨年度に対して、当該年度は分析対象の整理・分類を進めることを目的とし、本研究課題で扱い得る作品のリスト化をおこなった。したがって、前年度から継続中の、日本国内で所蔵されている戦前の新聞雑誌における映画および映画音楽関連記事の調査に加えて、当該年度は旧植民地所蔵資料に関する予備調査と、そのうち書籍やDVD等として発行されている資料の収集、ならびに、国立台湾歴史博物館と韓国映像資料院がウェブ上で部分的に公開している所蔵映像資料の確認と、それぞれの内容の分析に着手した。予備調査を踏まえ、東京藝術大学の植村幸生教授・韓国藝術総合学校のミン・ギョンチャン教授のご協力の下、韓国ソウル特別市で資料収集・確認作業を実施した。具体的には、韓国映像資料院に所蔵されている植民地期映画フィルムおよび製作時の資料や、国立国楽院所蔵の対象時期の音楽に関する資料の調査にあたり、韓国国立中央図書館で先行研究に該当すると思われる論文等の確認をおこなった。 さらに、満洲で制作された映画とその音楽に関する研究成果の一部として、特に日本人作曲家によるプロパガンダ映画のための音楽制作活動に焦点を合わせ、四川省社会科学院で開かれた「抗戦時期的文化人」学術検討会議で口頭発表をおこなった。また、満洲の文化統制の観点から、The 2nd Biennial Conference of the East Asian Regional Association of International Musicological Societyで口頭発表を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画のとおり、当該年度は国内の史料調査と並行して、台湾・韓国における資料の所蔵状況の予備調査を進めている。予備調査に基づいて、映像資料院を始めとした韓国の映像・音楽関連機関や図書館での資料調査も実施できた。 また、学会等での発表機会が予定以上に得られたため、研究成果のアウトプットも十分におこなうことができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度で本研究課題の最終年度にあたるため、①資料調査の足りない部分を補完すること、②資料調査によって収集したデータを整理し分析を進めることと、②これまでの研究成果を口頭発表・論文発表の形で公開することを並行する。①としては、台湾の資料所蔵状況の予備調査は完了したが、実際の現地での資料調査がまだ実施できていないため、国立台湾歴史博物館所蔵資料を中心に調査をおこなう。②としては、当該年度に韓国で調査を実施した際に、ハングル語で書かれた植民地期映画フィルムに関する資料や先行研究を収集したため、それらの読解と整理を進める。③としては、既にInter-Asia Popular Music Studies Conferenceでの発表が決定しているほか、本研究課題の成果の集大成となるシンポジウムの開催を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度に開催予定であったシンポジウムが、登壇者のスケジュール調整の都合で次年度開催になったため。 当初の予定通り、シンポジウム開催のための費用に充てる。
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