本研究は日本の植民地で主として戦中に製作・上映された映画の聴覚的要素を対象とし、当時の映画音楽がいかに創作・採用されていたか、それらにどのような機能が求められていたかを解明しようと試みた。予備調査として国内外のフィルム現存状況の調査と新聞雑誌の映画音楽関連記事のデータベース化をおこない、それらを踏まえて作品内容と言説の分析を進めた。 結果として①植民地で製作された映画のための音楽の委嘱状況②既存の楽曲を新作映画に付す場合の選曲に見られる傾向③映画音楽に関する製作側の理念④当時の文化統制の方針との関連などが明らかになった。
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