研究課題/領域番号 |
24720071
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研究機関 | 金沢美術工芸大学 |
研究代表者 |
宮永 春香 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 講師 (70623130)
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キーワード | 陶磁器 / 造形表現 / 粉体 |
研究概要 |
本研究は陶磁器以外のセラミックス(ガラス、ファインセラミックス等)の技術を陶磁造形表現における成形技術に転用し、陶磁器の造形表現における新たな成形法の基盤確立を目的とする。特に陶磁造形の成形技術として用いられることがなかった粉体を用いた成形に焦点を絞り、ガラスやファインセラミックにおける粉体成形技術を転用するための調査、研究を行い、陶磁造形における新たな成形方法の獲得への可能性を探ることを目的としている。本年度の具体的な研究実績としては、本研究において陶磁器以外のセラミックス技術の粉体成形・工程として特に重要視しているゲルキャステイングの成形方法について、陶磁器原料による粉体成形実験、焼成実験を行った。成形、焼成とも納得できる成果が出ていない。成形実験としては寒天の使用方法、固化させる環境や乾燥段階の温度、湿度管理について改良の必要性がある。また焼成についても焼成温度や昇温環境についての検討が必要となり、安定的にゲルキャスティング成形が行えることが第一の今後の課題である。一方で成形、焼成実験によって、粉体成形技術を転用した陶磁器成形技術が確立されることによって得られる陶磁器の造形表現への応用の方向性は明確化されており、ゲルキャスティング成形の陶磁器原料における粉体成形技術の確立が急がれる。また出産のため、平成25年10月7日から平成26年3月31日の期間で産前産後休暇及び育児休業を取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は研究実績の概要で記述したとおり、産前産後休暇及び育児休業によりおよそ半年間研究を行うことができなかったため、研究計画に沿って研究内容を実行することができなかった。しかし前半に行った実験により次年度以降に行うべき実験が明確化されていることから引き続き試作実験を行い、粉体成形技術の確立と複雑形状の成形について研究していく。
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今後の研究の推進方策 |
陶磁器以外のセラミックス(ガラス、ファインセラミックス等)の技術を陶磁造形表現における成形技術に転用を試みる本研究は、本年度の研究での実験において現前化した課題についての改良、検討、試作を重ねていくことで研究を推進させる。昨年度に引き続き、実験、試作に際して本来の専門領域外の領域を制作の場に持ち込むことになり、想定外の事象、実験器具等の取り扱いなどが考えられるので、所属研究機関の科学領域の研究者や、名古屋工業大学の藤教授の助言を受けながら、着実に研究計画に沿って実行していく必要性がある。専門外であるからこその柔軟な発想に基づく研究という自覚も持ちながら進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
セラミックス技術における粉体成形のうちゲルキャスティング及び多孔体セラミックスの成形に焦点を絞り試作実験を進めてきたが、産前産後の休暇及び育児休業により本年度予定していた実験が行えなかったことに加え、予定していた設備も購入できなかったため、次年度に使用できる金額を残すという判断を行った。 次年度においては、研究期間延長を視野に入れ、昨年度予定していたの設備購入を速やかに行い、実験を着実に進めていく。
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