研究課題/領域番号 |
24720071
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研究機関 | 金沢美術工芸大学 |
研究代表者 |
宮永 春香 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 講師 (70623130)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 陶磁器 / 造形表現 / 粉体 |
研究実績の概要 |
本研究は陶磁器以外のセラミックス(ガラス、ファインセラミックス陶)の技術を陶磁造形表現における成形技術に転用し、陶磁器の造形表現における新たな成形法の基盤確立を目的とする。特に陶磁器造形の成形技術として用いられることがなかった粉体を用いた成形に焦点を絞り、ガラスやファインセラミックスにおける粉体成形技術を転用するための調査、研究を行い、陶磁造形における新たな成形方法獲得への可能性を探ることを目的としている。本年度の具体的な研究実績としては、本研究において陶磁器以外のセラミックス技術の粉体成形・工程として特に重要視しているゲルキャステイングの成型方法について、陶磁器原料による粉体成形実験、焼成実験を行った。昨年度からの課題であった成形実験における水分と寒天の調合比や固化させる環境や乾燥段階の温度、湿度管理の改良の結果、破たんや変形への対策方法が明確化されたが今後も実験を重ねる必要性がある。焼成については昇温環境についての検討が課題である。本研究の要である成形実験におけるさまざまな実験要素の中でどの点において対策が必要かを見極めることに時間を要したことにより高額備品の購入を次年度へ持ち越したが、研究費を有効に活用するために慎重に研究を進めている。 ゲルキャスティング以外の粉体成形技術の可能性についても研究しており、本研究においての有効な方法として石膏による固化方法がある。石膏については基礎的成形技術を有しているため比較的容易に造形表現として活用できたため、試作品を制作し、花器として本年度の12月石川県金沢市で開催された「イヴの茶会」で発表した。一方で器物としての課題が明確化し配合割合や配合物の再検討が必要となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度における産前産後休暇及び育児休業取得による研究の遅れに加え、育児時間のための休暇を取得したことにより実質的に研究時間が短く、計画に沿った研究内容を実行することができなかった。しかし着実に研究実績を積み重ねていることから次年度の課題内容に取り組み研究を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
陶磁器以外のセラミックス(ガラス、ファインセラミックス等)の技術を陶磁造形表現における成形技術に転用を試みる本研究は、本年度の研究での実験において現前化した課題についての改良、検討、試作を重ねていくことで研究を推進させる。昨年度に引き続き、実験、試作に際して本来の専門領域外の領域を制作の場に持ち込むことになり、想定外の事象、実験器具等の取り扱いなどが考えられるので、所属研究機関の科学領域の研究者や、名古屋工業大学の藤教授の助言を受けながら、着実に研究計画に沿って実行していく必要性がある。専門外であるからこその柔軟な発想に基づく研究という自覚も持ちながら進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の要である成形実験におけるさまざまな実験要素の中でどの点において対策が必要かを見極めることに時間を要したことにより設備購入を次年度へ持ち越したが、研究費を有効に活用するために慎重に研究を進めている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度においては、育児休業等による研究期間延長を視野に入れ、上記の実験要素と対策に関して再度検討を行い、慎重かつ迅速に設備購入を行い、研究を進めていく。
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