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2013 年度 実施状況報告書

フランス革命期の演劇における女性像の研究―男装のヒロインの表象と受容の検証

研究課題

研究課題/領域番号 24720080
研究機関京都外国語大学

研究代表者

中山 智子  京都外国語大学, 外国語学部, 准教授 (80434645)

キーワード異性装 / 演劇 / フランス革命史 / 服飾 / 女性 / 大衆 / 国際情報交換 / フランス
研究概要

本年度は、フランス革命期における演劇の社会的役割の分析と、男装のヒロインを持つ戯曲についての調査を中心として行った。
前年度の研究で、革命期には演劇の大衆化が強く見られたことを確認した。その社会的背景を知る必要性から、今年度はまず、フランス革命史と演劇史の文献を読み込み、革命期の社会的に重要な出来事と演劇に関する詳細な年表を作成した。その結果として、以下のことが確認できた。1、 1791年の「劇場の自由に関する法」の制定が私立劇団の自由な創作活動を促し、演劇の大衆化に拍車をかけた。2、1793年に「演劇の監視に関する政令」が発令され、演劇が革命政府の監視下に置かれ、検閲が強化されると同時に、演劇が革命政府により国民の教化の手段として認識された。3、民衆蜂起やヴァレンヌ逃亡事件など社会が騒擾状態にある時、劇場が閉鎖されるなど、社会と上演活動が常に連動していた。4、バスティーユ監獄の占拠や王の処刑を描いた戯曲など、実際の事件を描いた作品が多く作られた。
以上のことから、革命期には社会状況と演劇とが非常に密接に関連していることが確認し、これらの研究成果の一部を論文として発表した。
さらに、平成26年3月に渡仏し、ヴィズィーユのフランス革命博物館資料室及びパリのアルスナル図書館で資料調査を行った。とりわけ、フランス革命博物館では、フランス革命期の演劇全集(15巻)を調査することで、フランス革命期の上演戯曲の主題について概要を把握することができた。また、同博物館では革命期に出版された劇評を調査し、男装のヒロインを演じた女優についての批評を発見することができた。さらに、研究対象となる戯曲も新たに見つけることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、フランス革命期にパリで上演された舞台芸術を資料として読み解き、革命期特有の女性像の表象を特定することを最終的な目的とし、平成24、25年度は男装のヒロインを持つ革命期の上演作品の特定とデータベースの構築を具体的な目的としてきた。
上演作品の特定に関しては予定通り進んでいるが、データベースの構築に関して、特に観客数や役者についてはデータがまだ得られていない作品もあり、今後一層の進捗を図る必要性があると考えている。
一方で、革命期に固有な演劇の社会的な役割の特徴について、当初予定していた以上の研究成果が得られたため、その成果を、作品分析や作品の受容の研究に生かすことができると考えている。

今後の研究の推進方策

平成26年度は特定した作品について分析を行い、各作品の受容について調査を行う予定である。研究書やフランスの各図書館、劇場の資料室で当時の証言(日記、書簡、回想録、劇評、演劇事典など)について調査を行う。また、革命博物館資料室での調査により、新たに参照すべき文献が見つかったため、それらの文献を入手し、研究課題について一層の知見を得る予定である。
長期休暇を利用しパリの演劇関係の資料を有する図書館(フランス国立図書館、アルスナル図書館、オペラ座図書館、コメディ=フランセーズ図書館)で調査を行う予定である。各作品を作者、ジャンル、上演の形態などの特性を考慮した上で分析する。これまでの研究成果を生かし、役者の演技、舞台空間、衣装、音楽など非言語的要素の効果も合わせて作品を解読していく。その調査結果をもとに、データベースの充実を図り、革命期に男装のヒロインがどのように受容されたのかを分析する。さらに、客観的データと作品の分析結果を総合し、革命期以前の男装のヒロイン像との比較を行い、革命期特有のヒロイン像を検証していく。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度に予定していたパリでの調査活動が実施できなかったため、旅費が支出できず、平成25年度に繰り越されることとなった。また、平成25年度はインターネット上で公開されている文献の調査に力を入れたことと、ヴィズィーユでのフランス革命博物館資料室での文献複写を無料で行うことができ、研究資料の購入や複写に関する支出が少なかったこともあり、次年度使用額が生じることとなった。
インターネット上で公開されていない資料の購入や、マイクロフィルムで保存されている資料の複写をフランスの図書館に依頼する必要があり、次年度使用額から使用する予定である。さらに、平成25年度のフランスでの調査の結果、参照すべき研究書や図録集が新たに確認できたため、それらの購入も行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] フランス革命期(1789~1799)のパリの演劇状況2014

    • 著者名/発表者名
      中山智子
    • 雑誌名

      京都外国語大学研究論叢

      巻: 82号 ページ: 121-128

    • 査読あり

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公開日: 2015-05-28  

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