研究課題/領域番号 |
24720081
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
堀 潤之 関西大学, 文学部, 教授 (80388412)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 映画理論 / アンドレ・バザン / ゴダール / オーソン・ウェルズ |
研究実績の概要 |
(A)不動性をめぐる映像理論小史、(B)不動性の映画史、(C)現代美術の映像作品における運動と不動という本研究の三本柱のうち、今年度は(A)および(B)を重点的に手がけた。 (A)に関連する実績として、アンドレ・バザン『オーソン・ウェルズ』(インスクリプト刊)を上梓した。本書は、フランスの映画批評家バザンの最初の単行本である1950年刊行のオーソン・ウェルズ論の全訳に加えて、『市民ケーン』(1941)をめぐって戦後のフランスで交わされた論戦の要諦を紹介すべく、ジャン=ポール・サルトル、ジョルジュ・サドゥール、ロジェ・レーナルト、そしてバザンが同作品を論じた4篇の雑誌記事を「資料」として訳出し、「ウェルズ論争」に何が賭けられていたのかを詳述した訳者解説「ウェルズとバザン、ふたたび」を収めたものである。 (B)に関しては、ジャン=リュック・ゴダールの作品分析を集中的に行った。近作『ゴダール・ソシアリスム』、『さらば、愛の言葉よ』をめぐる論考(「ウェルズ、ゴダール、偽なるものの力能」、「『さらば、愛の言葉よ』解説」)のほか、ジガ・ヴェルトフ集団期のゴダールたちの実践を詳しく振り返った(「ジガ・ヴェルトフ集団の冒険」)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度の研究実施計画としては、上記(A)(B)(C)の三本柱をすべて踏まえて全体を総括することになっていたが、今年度は各論を積み上げることはできたものの、総括的な研究成果を出すには至らなかったため、やや遅れていると判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度には、本研究課題に関する研究成果を見直しつつ、全体を総括することに重点を置く予定である。ただ、(A)(B)(C)それぞれの領域について、目星だけは付けながらもまだ論文のかたちにしていないものも多いので、各論についても引き続きできる限り成果を公表するつもりである。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題にかかわる研究成果の総括をするために研究期間を延長したため。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究成果の総括に必要な図書・映像資料の購入のために使用する。
|
備考 |
このウェブログで定期的に研究成果の概要を公表している。
|