研究課題/領域番号 |
24720085
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北海道開拓記念館 |
研究代表者 |
山際 晶子 北海道開拓記念館, 学芸部, 学芸員 (50591864)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アイヌ / アイヌ絵 / 源義経 |
研究概要 |
本研究は、北海道内外に現存する「義経蝦夷渡伝説」を描いた画像資料の所在調査・現地調査を行い、関連する画像資料のデータを集積すること、また集積した画像の分析・比較・検討を行うことで、「義経蝦夷渡伝説」の受容の様相を明らかにすることを目的としている。平成24年度は、上記の目的と単年度研究計画に基づき、以下の調査研究を行った。 1.先行研究・関連書籍・博物館資料館目録等の収集、また、申請者の所属研究機関が所蔵する道内絵馬の調査資料のデジタルデータ化・整理などによって、関係資料の所在調査と調査地の選出を行った。 2.函館市、松前町、美唄市、三笠市、岩見沢市、余市町などの社寺、博物館、資料館にて絵馬をはじめとする関係資料の調査・写真撮影・情報収集を行った。特に、峰延神社所蔵の北條玉洞筆「義経蝦夷渡り伝説図絵馬」と余市町教育委員会所蔵の早坂文嶺筆「アイヌ絵(武者のぼり)」については、制作者・奉納者や制作当時の時代背景などについて、関連する文献調査も実施した。 3.千葉県の国立歴史民俗博物館、福岡県の九州国立博物館、広島県の広島県立歴史博物館において、義経、アイヌを描いた絵画、また、朝鮮通信使や琉球使節、オランダ人など、「異国」「異域」に暮らす人と捉えられた人々を描いた絵画の調査を行った。 以上の調査で把握した関連資料のデータを整理し、画像の分析・比較、問題点の整理を行った。その成果をもとに、所属研究機関内で研究発表を行い、所属研究機関の研究紀要に成果の一部を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査地や調査内容に若干の変更を加えたが、おおむね当初の研究実施計画に沿って、所在調査・現地調査を実施することができた。調査した画像資料の分析に予想より時間を費やしてはいるが、成果の一部を研究発表や刊行物などで報告することができた。 よって、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
調査した画像資料の分析に予想より時間を費やしている状況であるが、本研究課題においては個々の詳細な分析よりも画像資料のデータ集積を優先するため、当初の研究実施計画に従って今後も現地調査を行っていく。調査候補地は複数あるため、優先順位をつけながら調査地を決定していく。 また、初年度と同様に刊行物などに成果を報告する他、北海道史研究協議会での研究報告を予定しており、そうした研究報告を目処に調査のまとめを行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度と同様に道内外で関係資料の調査を行うために旅費を支出する。道内では小樽・積丹方面において小樽市総合博物館・正法寺他、また、道南方面において上ノ国八幡宮他で、絵馬をはじめとした関連資料の調査を行う。道外では岩手県をはじめ東北地方において主に錦絵などの関連資料を調査する予定である。 また、上記の調査では資料の写真撮影を行う予定であるが、寺社などでは暗所や離れた場所からの撮影が予想される。画像の分析には高精細な画像を得る必要があり、そのために高性能の撮影機器が必要となる。さらに、『日本北辺関係旧記目録 ― 北海道・樺太・千島・ロシア』(北海道大学附属図書館編)他、所在調査や画像分析のために、北方史関係、アイヌ絵関係他の関連書籍の収集を継続して行う必要がある。よって、デジタルカメラ一式、書籍等の物品費を支出する。
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