研究課題/領域番号 |
24720091
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
日比 嘉高 名古屋大学, 文学研究科, 准教授 (80334019)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 外地 / 書店 / 植民地 / 書物 / 流通 / 取次 / 大阪屋号 |
研究概要 |
今年度は開始初年度であり、まずは関連資料を購入することから始めた。朝鮮半島や満洲において出版された雑誌およびその総目次などを揃えた。 研究業績としては「外地書店とリテラシーのゆくえ――第二次大戦前の組合史・書店史から考える――」を発表した。これは小売書店の組合史資料および各書店史を資料から、外地書店の概略を広く見渡そうとした論考である。具体期には、外地書店の同業者組織である外地の書籍雑誌商組合の歴史、そして外地書店が生まれ育つ際の典型的道筋の素描という二つの課題から外地書店の歴史に迫った。地域を横断して俯瞰的に展開を描出すると同時に、文化的な〈接触領域〉として、外地書店という空間を考えた。 また『台湾日日新報』の広告を資料として、従来注目されることの多かった新高堂より、更に遡った時代における書店の展開を考察した。これにより、日清戦争後の台湾領有直後の時代における、台北を中心とした日本人居留地の書店のありさまが浮かび上がってきた。これは2013年4月に刊行された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
台湾を対象とした研究は、予定したよりもやや遅れている。 しかしながら、全体を見渡す論考を本年度紅葉することができたため、これは大きな進捗だと自己評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は家庭の事情(妻の出産と育児)により、海外渡航による調査研究が難しかった。最後までその可能性を探ったが、果たせなかった。そのために、研究費を余らせる結果となった。 次年度は引き続き、台湾についての調査研究、および朝鮮半島についての調査研究を行う。可能であれば双方に調査に行きたい。また秋には外地の書物流通についての研究報告を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度執行できなかった予算は、次年度海外旅費あるいは資料購入に振り分けるかたちで、生かしていきたい。 台湾、韓国における海外調査、また国立国会図書館での調査を計画している。
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