研究課題/領域番号 |
24720091
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
日比 嘉高 名古屋大学, 文学研究科, 准教授 (80334019)
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キーワード | 台湾 / 朝鮮半島 / 大阪屋号書店 / 外地 / 取次 / 小売書店 / 新高堂 / 日韓書房 |
研究概要 |
今年度は(1)台湾の新高書店を中心とする小売書店と流通の歴史、(2)朝鮮半島における小売書店と流通の歴史、(3)大阪屋号書店の再検討・再評価を行った。 (1)台湾の課題としては、『台湾日日新報』の閲覧・分析を行いながら、新高堂が設立される以前と、新高堂が設立された後の初期の状況がどうであったのかについて、考察を行った。その成果は、「外地書店を追いかける――台湾・新高堂以前――」(『文献継承』金沢文圃閣 2013年4月 第22号 pp.1-3)、「外地書店を追いかける(2)――台湾・新高堂の誕生――」(『文献継承』金沢文圃閣 2013年10月 第23号 pp.6-8)として公表している。 (2)朝鮮半島の課題としては、同地における書店史の概略および流通のありかたについて、朝鮮書籍雑誌組合の資料や内地の関連資料などを用いながら考察した。日韓書房、大阪屋号書店京城支店および卸部、釜山の吉田博文堂などを、鍵となる書店として注目した。流通に関しても、内地の業界資料などを用いながら一覧化して考察した。その成果は、「戦前外地の書物流通(1)朝鮮半島における日本語書店の展開」と題して、高麗大学で開かれた「東アジアと同時代日本文学フォーラム」において発表した(2013年10月18日)。現在論文化するため作業中である。 (3)大阪屋号は外地専門の取次最大手として著名である。ただしこの書店にのみ注目されて他の業者への目配りが不十分だった。そのため、東京堂や三省堂、関西・九州の業者などの活動を追跡しながら、外地向け取次全体のあり方を再評価しようと試みた。その成果は「大阪屋号書店・再考――外地/内地を結ぶ書物流通」として日本出版学会出版支部会において報告した(2014年2月15日)。また2014年3月11日には、堂書店関係者にインタビューも行った。現在論文化するため作業中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
台湾、朝鮮、書籍流通、それぞれにおいて研究発表や論文化しており、順調であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
上記(1)については、続稿を『文献継承』に掲載する予定である。(2)については、今年前半には論文化する予定で目下準備している。(3)も今年度中に投稿を行いたい。 さらに、今年度は中国大陸における書店の展開も調査を始める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた調査出張について、行けなかった。また高麗大学における研究発表の旅費・滞在費が、前方から支出された。また物品費について、想定よりも少なくて済んだ。 調査出張については、計画的に行う。物品費は関連資料の購入を中心に、早めに執行する。
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