研究課題
若手研究(B)
本研究は、戦前期の帝国日本の各都市、各地方を結んで展開した書物の流通ネットワークを、外地を取引先とした取次業者、海外各地に店を構えた小売書店の活動に注目することで明らかにするものである。東アジア各地やハワイ、北米などへの日本人の侵出にともない、20世紀初頭から各地に日本人経営の書店が誕生した。1910年代からは各地域で徐々にこうした外地書店の組織化が進み、同時に内地とそれら書店を結ぶ書物取次網も機能を始めた。この研究では、取次書店としては大阪屋号書店、東京堂、三省堂ほか、小売書店としては朝鮮半島、台湾、旧満洲、樺太、ハワイ地域の小売書店に焦点を当て、帝国日本の書物流通の素描を試みた。
近現代日本文学・文化史