研究課題/領域番号 |
24720103
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
大屋 多詠子 青山学院大学, 文学部, 准教授 (50451779)
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キーワード | 日本文学 / 江戸時代 / 曲亭馬琴 / 歴史認識 |
研究概要 |
二〇一三年度は当初の三年計画の二年目にあたるが、研究代表者が七月から産休・育休を取得したことに伴い、一年間の研究中断を申請しているため(二〇一四年度七月まで)、本年度の実績報告は、実質は四月から六月までの三ヶ月間のものとなる。 本研究では、I「馬琴の治国思想と垂加神道」、II「馬琴の尊皇思想とその影響」、III「馬琴の歴史認識と国境意識」の三側面からのアプローチを試みる。全般としては、昨年に引き続き、データ・資料収集を進めたが、それとともに分析・考察を行い、その結果として、下記のような口頭・論文発表を行った。 I・IIの側面からは、馬琴の治国思想・尊皇思想に関わる口頭発表を行った。馬琴の「日本魂」についての意識に、崎門派の垂加神道の影響の可能性を見いだすとともに、「武の国」という語に着目して、馬琴の治国思想と作品への反映についても考察し、今後の研究の見通しを立てた。 また、IIIの側面では、馬琴の国境意識に関連して、馬琴の読本執筆時における地誌の利用状況の調査を進めた。その過程で、『月氷奇縁』の趣向と『南総里見八犬伝』の趣向に用いられている地誌について考察し、論文の一部にまとめ、発表した。 さらにIIIに関しては、昨年度より、馬琴以外の文政期読本を調査することで、馬琴の歴史認識について客観的に捉え直す方法を取り入れているが、その成果の一部として、研究会において、文政期読本の作品二点についての解題を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前項にも記載したように、研究代表者が、七月以降、産休・育休に伴う一年間の研究中断を申請しており、二〇一三年度の研究が実質、三ヶ月であるため。ただし、前項にまとめたように、三ヶ月間の研究予定は順調に達成し得たと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、七月以降、育休からの復帰後に、研究中断以前の二年次の予定に従って推進する。 具体的には、復帰後の二〇一四年度後半は、特にIIIの研究に関して、さらなる調査・分析を進める。本年度は、『月氷奇縁』・『南総里見八犬伝』において、馬琴が用いた地誌に関わる論文を発表したが、引き続き、他の読本についても調査を進める。最終的に、馬琴が用いた地誌の一覧をまとめ、馬琴の国境意識を検討することを目標とする。 I・IIについては、本年度の口頭発表の成果を踏まえ、垂加神道・水戸学をはじめとする思想系の資料収集に加え、読解と分析を推し進め、三年次においてその成果をまとめることを目標とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
二〇一三年度は、七月以降、研究代表者が産休・育休に伴う一年間の研究中断を申請しており、実質三ヶ月間のみの研究となったため。 育休からの復帰後に、当初の計画通りに使用を進める。 具体的には、研究書の購入費、活字化されていない江戸時代の資料の購入費をはじめとして、各所蔵機関の資料の複写費、マイクロフィルムの焼付費が必要となる。 その他、遠方の各機関が所蔵する翻刻のない史料に関しては閲覧・調査のための旅費、宿泊費が必要となる。
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