主な研究成果としては、以下の3つがある。第一に、馬琴の「日本魂」という語の利用法に着目し、崎門派の垂加神道の影響を受けた可能性を見出すとともに、「武の国」についての認識の検討を通して、馬琴の治国思想が作品にいかに反映されているかを考察した。第二に、馬琴が読本『椿説弓張月』執筆の際に利用したと考えられる、近松門左衛門の異国渡航を扱った浄瑠璃を指摘し、その使用方法に馬琴の異国意識・国境意識が見られることを確認した。第三に、読本における古代の神話の利用について調査し、その方法の検討を通して、馬琴の古代史に対する歴史認識について考察、口頭発表を行った。これについては、論文化を準備している。
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