平成26年度も前年度までに引き続いて日本国内の機関での調査を行い、資料収集の部分については、3年間の調査を合わせて申請当初から計画していた内容を一通り消化することができた。 平成26年度特に重点を置いたのは、北陸・山陰・九州等の未調査であった県の図書館・文学館における調査で、これらを実施することによって日本国内の全47都道府県立図書館・文学館について一定の水準での資料収集終えることができた。また、都道府県立の機関の調査と同時に、主要な市町村立図書館・文学館についても調査を行い、予定していた部分についてはおおよそ必要な調査を完了している。各地の文学関係者・研究者と連携した資料収集と合わせて、各都道府県の文学状況・詩歌俳壇状況については、ほぼ基礎的な把握ができたと考えている。 現在は、このような資料収集の成果を個別の論考に還元して公刊するべく、47都道府県各県の文学事情についてそれぞれ整理し、地域文壇相互間の関係及び中央の結社との関係について複数の論文にまとめている段階である。 実際の成果公刊については、当初の予定よりも進行が大幅に遅れており、平成26年度は「寒河江真之助と詩歌誌『高潮』―詩誌『新年』前史として・その2」(『詩誌「新年」への想い』第2集)、「各地俳誌のなかの地橙孫(1)」(『地橙孫新聞』第13号)を発表したにとどまった。現在、詩壇に関わる部分で、山形県を中心とする『山形・詩と詩人の系譜』の続稿と東北地方各地域の詩人の連関に関わる論考を、俳壇に関わる部分について、俳誌『層雲』・『海紅』関連する俳人に関わる論考を優先的に準備中であり、その他、中央の結社ネットワークと結びついた部分も含めて発表の目処がつくものから随時公刊していく予定である。
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