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2012 年度 実施状況報告書

近世琉球期・先島地方旧記類の研究基盤形成を目標とした総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24720108
研究機関明治大学

研究代表者

木村 淳也  明治大学, 研究知財戦略機構, 共同研究員 (40614772)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード琉球文学 / 沖縄 / 地方旧記類 / 説話 / 伝承 / 祭祀
研究概要

琉球近世期に作成された地方旧記類のデータベース化に関して、当該年度は宮古島に関連するものを中心に遂行した。当該年度は宮古島旧記類は3種の本文に関して、異体字情報を含んだテキストデータを作成した。次年度の早い段階で、所属研究機関のホームページで公開する予定である。さらに次年度において、八重山関係の地方旧記類をデータ化すべく、現在本文の収集と整備を行った。
また、宮古島の歌謡研究者である居駒永幸氏や、宮古島在住の研究者・映像作家である佐渡山安公氏に協力を仰ぎながら、宮古島市の本文の関する調査を行った。その結果、宮古島市総合博物館において宮古島旧記の伝本の存在を確認することができた。所蔵館の了解のもと写真版を入手してこれを画像変換し、現在までに作成したテキストデータに反映させる作業を行っている。また3月には琉球大学附属図書館、沖縄県立博物館、沖縄県立図書館が所蔵する宮古島旧記の資料も閲覧し、これを基にした本文の対校準備を行った。
加えて、当該年度は宮古島の「夏ブー」祭祀の調査を行った。この祭祀は長年中止されていたが、宮古島・狩俣集落の祭祀群の実質的な統率者である「アブンマ」の誕生により復活したものである。司祭者の誕生は他の中止された祭祀の復活を促すものとなることが確実であり、テキストに記載された祭祀を考える重要な材料となるものといえる。
宮古島・八重山島を考えることは、琉球王府の領域意識を考えることにも繋がるといえよう。当該年度は「海域アジア」という視点で、宮古島・八重山島を含み込んだ研究も併せて行った。この成果は韓国にて行われた研究発表会において発表している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度の目標値として掲げていた、諸本の所在確認、宮古島地域並びに沖縄本島における諸本の実地調査と引見、それを受けた宮古島旧記類のテキストデータ化、ならびに現地における祭祀調査を完了し、該年度におけるおおよその研究過程の目標は達成したといえる。しかし、これらの結果得られた知見と、作業をベースとした注釈作業に関しては未だ準備段階にある。この注釈作業自体は研究計画にもあるように、非常に時間がかかるものであることは予想される。本研究費をもとに研究会を立ち上げ、本研究以降も継続的に行ってゆく必要があると考える。そういった意味では、その研究会の立ち上げが、一つの達成であるといえるだろう。
また、上と注釈作業と連動するものであるが、宮古島旧記類の本文内容の分析、琉球王府の史書・地誌との比較、ならびに解釈にまでは手が回っていない。次年度の八重山関連旧記類の研究と平行するかたちで、総合的に行う必要があると考えている。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画に則り、本年度は八重山関係の旧記類のデータ化と、在地の祭祀・民俗の調査を平行して行うこととする。具体的には、まず最初に沖縄本島、石垣島、および日本本土に所在する八重山関連の旧記類の、写本・版本・画像データを悉皆的に収集し、本文の分析、並びに系統分けを行う。その際、当該年度も協力を依頼した沖縄県立博物館、沖縄県立図書館、琉球大学にて調査を行い、さらに沖縄県内の研究者に協力を仰ぎながら、石垣市立八重山博物館や、個人所有の諸本の調査を行う予定である。また日本国内においては、国立国会図書館、国立公文書館の蔵書調査を予定している。
上記調査によって得られた諸本情報を基に、八重山の旧記類に関する諸本データ・ベースを作成する。そこから特に、中央の史書・地誌類と関係を持つ「八重山嶽々由来記」、「八重山島諸記帳」、「慶田慶来城由来記」を中心に選択してテキストデータを作成し、資料として公開するまでを行う。
さらに、当該年度の宮古島と同様、旧記類や規模帳に関連する祭祀、とくにマユンガナシーをはじめとする来訪神儀礼の調査を行い、これをテキスト読解に反映させる試みをする。その成果は、先島の地方旧記類成立の問題や性格、本文解釈を巡る論文を作成し発表することで行っていきたいと考えている。また、次年度は本研究の最終年度となるため、王府の史書類との比較を行いながら、中央と先島地方の間に横たわるテキスト作成に係る位相差を捉えた研究を総合化して行う。

次年度の研究費の使用計画

当該年度の研究費の使用状況において、特に物品費における設備購入は、その購入金額を大幅に抑えることができたため、おおよそ計画通りの使用ができている。また書籍購入においては、当該年度は宮古島の研究に注視したため、その関連書籍と基本図書の購入に充てた。次年度以降は、研究対象が八重山となるため、八重山関連の書籍購入を主として行い、他の研究所・基本図書の購入のために物品費使用を行使する予定である。また、消耗品費は、文具やパソコン関連の周辺機器にも充てる計画をしている。
旅費に関しても、当該年度は計画的利用がなされたといえる。次年度も当初の研究費使用明細に則る形で、沖縄本島、ならびに八重山地域の文献・祭祀・遺跡の調査費用として使用する計画を立てている。その他費用は、当該地域における写本のマイクロ作成代やコピー代として使用する予定である。また次年度は、鹿児島地域において関連文献・遺跡の調査を行う必要が生じている。当該年度の旅費使用額が抑えられているため、これを次年度の旅費の一部として充当させる計画を立てている。
人件費ならびに謝金に関しては、当該年度の使用が無かったが、次年度は本研究の最終年度ということもあり、アルバイトを雇うなどして適正な使用を心がけたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 「遺老伝」の行方―『遺老説伝』所載の「銘苅子」、「無漏渓」伝承を考える―2012

    • 著者名/発表者名
      木村淳也
    • 雑誌名

      説話文学研究

      巻: 47 ページ: 75~86

    • 査読あり
  • [学会発表] 『遺老説伝』の説話構成にみる近世琉球の領域意識2012

    • 著者名/発表者名
      木村淳也
    • 学会等名
      第3回高麗大学 校・明治大学国際学術会議
    • 発表場所
      韓国・ソウル市(高麗大学校)
    • 年月日
      20120914-20120914

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公開日: 2014-07-24  

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