最終年度である本年度は、前年度に引き続いて、宮古島に関連する地方旧記類のデータベース化を拡充するとともに、八重山嶋関連旧記類のテキストデータベース化を推進した。宮古島旧記類(『御嶽由来記』、『雍正旧記』、『宮古島紀事』)は諸本を校合したテキストデータを作成。PC上では再現が困難な漢字書体に関してはUnicodeでマッピングを施し、これをWEB上に公開した(現在はベータ版)。 八重山地域における現地調査は、石垣市を主として2013年8月に行った。この調査は、王府関連文書(『琉球国由来記』、『球陽』、および『遺老説伝』)に引用が確認される『八重山嶽々由来記』、『八重山嶋諸記帳』の2本に絞った八重山旧記類の所蔵確認、ならびに王府記録に現れる祭祀遺跡の悉皆調査を主としたものである。この調査において、石垣市立八重山博物館学芸員の下野氏に、八重山旧記類の所蔵状況に関してレクチャー頂いた。 その際、八重山旧記類は基本的に個人蔵の物が多いことが解ったため、当初の方針を切り替えて、沖縄県立図書館が所蔵する八重山博物館資料影印の悉皆調査を行うこととした。版本ですでに公開されている諸本(神道大系所収本文、雑誌『南島』所収本文、および『八重山文化論集』所収本文)を中心に基礎的なデータベースを作成した後、沖縄本島の八重山史料書蔵館を対象とした調査を2回行った。その際、我那覇家文書、国吉家文書等に関連文書4点を発見することが出来た。しかし、これらの諸本は『八重山島旧記』『八重山島由来記』『八重山島年来記』等表題が一致せず、上記諸本の詳細な本文確認、ならびに伝本調査の必要性を感じたが、本年度の調査ではそこまで至っていない。 完成したベータ版の八重山旧記類のデータベースは、WEB上に一般公開すべく、現在最終調整を行っている。
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