研究課題/領域番号 |
24720113
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田村 隆 東京大学, 総合文化研究科, 講師 (70432896)
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キーワード | 奈良絵本 / 板本 / 伊勢物語 / 竹取物語 / 源氏物語 / 挿絵 / 写本 / 絵巻 |
研究概要 |
平成25年度は前年度の研究成果を承けて、『伊勢物語』、『竹取物語』、『源氏物語』の奈良絵本と板本の関係について考察した。 『伊勢物語』の初段における挿絵二図については、そこに描かれた紅葉・桜にそれぞれ着目すべきことを昨年度指摘し、初段の絵を二段の絵と誤解するに至る経緯を考察したが、今年度はより多くの絵入板本を参照した上で、その研究成果を6月の九州大学国語国文学会において発表した。さらに、11月には『超域文化科学紀要』に論文「『伊勢物語』初段挿絵考」を発表した。 『竹取物語』については東京大学文学部国文学研究室所蔵の『竹取物語絵巻』の調査を進め、その本文の系統や挿絵の特徴について考察した。本文と絵がちぐはぐな場面が見られることも確認され、本文と絵とが独立して製作される様がうかがわれた。『源氏物語』については藤の花の描き方について、絵の場面によって藤棚の有無が異なることをさまざまな源氏絵に即して確かめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の進捗は概ね順調に進展していると考えている。昨年度から取り組んでいる『伊勢物語』の挿絵の問題について、今年度は考察の資料を加えた上で論文と学会発表の二点の研究成果にまとめた。『竹取物語』と『源氏物語』についても上述のように新たな課題に取り組んだ。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、特に『源氏物語』の絵入板本について、上記の藤棚の問題を成果としてまとめること、加えて板本『源氏物語』の本文が先行のどのような本文に依拠して整定されているかを明らかにすることを課題としたい。また、今年度は本研究課題の最終年度であり、これまでの研究成果を論文や学会発表等の形で発表することも予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に奈良絵本・板本の資料に関して、公開されたデジタル画像の使用などによって複製本購入や複写物の取り寄せなどが一部不要となったため。 引き続き、奈良絵本・板本の資料蒐集に要する経費として使用する予定である。
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