本研究課題の最終年度となる平成26年度は、研究期間の三年間に主に調査対象とした『伊勢物語』、『竹取物語』、『源氏物語』について、奈良絵本と板本との関係を整理しつつ、それぞれの本文を検討する過程で気がついた問題に取り組み、論文や学会発表の形で成果を発表した。 特に『源氏物語』の本文については、室町期から江戸期にかけての諸本を通覧した上で、伝肖柏筆本、書陵部本、三条西家本、嵯峨本、『絵入源氏』などの相互の関連を調査し、奈良絵本の時代に用いられた本文の生成過程を考えた。その成果の一端は6月の中古文学会のシンポジウムにおいて「青表紙本の系譜」として口頭発表し、11月にはその内容を『中古文学』誌に論文として発表した。
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