研究課題
若手研究(B)
本研究では、19世紀半ばに発生したアイルランド大飢饉が、それを直接には体験してない小説家によって、どのように描かれてきたのかを検討した。その結果、20世紀初頭から現在に至るアイルランド作家のなかには、大飢饉の記憶を民族主義的に継承するタイプと、大飢饉をめぐるイギリスとアイルランドの対立を乗り越えようとするタイプの2つの潮流があることが判明した。この点は、ある国家の歴史的悲劇に対する文学的応答の例として、震災後の現代日本社会にとっても意義を持つと考えている。
20世紀アイルランド文学