研究実績の概要 |
今回の研究課題を通して得られた成果としてまずは英語圏(アメリカ)の学術誌に掲載された、または掲載の決定した2本の論考を挙げることができる。 その一つ目である"Theresa Hak Kyung Cha’s 'Phantomnation': Cinematic Specters and Spectral Collectivity in Dictee and Apparatus"は雑誌Criticism (Vol. 56, No.1)に掲載されたが、同論文ではテレサ・ハッキョン・チャの詩的テクストであり、特にアジア系アメリカ文学研究のトランスナショナル化に大きな影響を与えた作品『ディクテ』において、チャ自身の映画研究・映画理論がいかに大きな意義を占めているかを明らかにした。二つ目の論考である"The Objects across the Pacific: Poetic Interruptions of Global Sovereignty in Charles Olson and Kiyota Masanobu"も学術誌Discourse:Journal of Theoretical Studies in Media and Culture(2016年)への掲載が決まっている。 また文学と記憶の問題については、アガンベン学会(台北)、日本アメリカ学会(宜野湾)、ACLA年次大会(ニューヨーク)にて、映像と記憶の問題についてはInter-Asia Cultural Studies学会(シンガポール)、AAS年次大会 (シカゴ)などでそれぞれ発表を行った。特にアガンベン学会にて交流を深めることとなった米国、台湾、シンガポールの研究者たちと現在、アメリカと東アジアをまたぐ戦争の記憶と主体の構成についての論集を企画中である。
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