研究課題/領域番号 |
24720137
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
三原 芳秋 同志社大学, 言語文化教育研究センター, 准教授 (10323560)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 文学理論 / 新批評 / 英米文学 / 英米哲学 / モダニズム / 東アジア |
研究概要 |
本年度は、その主要な目的を「広い意味での資料調査による、本研究の基礎固め」と位置づけ、研究に着手した。その最大の成果は、夏期休暇中に実施した北米調査旅行であろう。まず訪れたプリンストン大学図書館では、R. P. Blackmur Papersの一次資料を詳細に調査することができた。本研究の目指す「『新批評』再考」における範例的地位を担うであろうこの独異的詩人・批評家の全体像を知るうえで、当アーカイブに保管されているBlackmurのノート(若年から晩年にわたる膨大なもの)を通読する機会を得たことの意義は大きい。また、多くの書簡の中から、Blackmurが日本や韓国の研究者たちと広範な交友を持っていたこともわかった。次に訪れたニューヨーク市では、ニューヨーク市立大学Berg Collectionでの調査の傍ら、Johns Hopkins大学のDouglas Mao教授と面会し、モダニズム文学や「新批評」の再読について意見を交わす機会をもった。最後の訪問地・Cornell大学では、Jonathan Culler教授と面会し、数年来の共通の話題である「文学と理論」について親しく意見を交換し、また、酒井直樹教授とは東アジアにおける英文学研究の思想史的意義について討議する機会を得た。他方、国内においては、「新批評」に関する二次資料の収集・整理を行うとともに、同時代の英米哲学(とくに、今日では忘却されがちな英米観念論の伝統)についての基礎研究に着手した。この両者を結びつける論点は、従来の研究において文学研究と哲学研究のはざまで見逃されがちであったために、今後重要な発見につながるものと期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は所属大学の大規模な改組にともない、新学部の開設ならびに校地の移動が実施された。とくに後者については、その移動に責任を持つ主任職にあったために、下半期はその作業に忙殺されることになった。そのため、収集した資料等の整理・解析を十分に行うことができず、これは次年度の宿題となった。また、夏期休暇の北米調査旅行の期間も十分にとれず、当初計画していたハーヴァード大学ホートン図書館の訪問を断念せざるをえなかった。くわえて、国内における活動時間が制限されていたこともあり、国内のおける研究者のネットワーク作りは大幅に立ち遅れていると言わざるを得ない。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度に多少積み残した部分もあるが、それらを取り戻しつつ、おおむね当初の予定通り研究を推進していく。国内における若手研究者との交流や研究補助員の雇用なども積極的に行い、初年度に収集した資料の整理・分析を進める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
繰り越した基金を有効に利用し、初年度に断念したハーヴァード大学ホートン図書館への調査旅行を実施する。
|