研究課題/領域番号 |
24720139
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研究機関 | 京都ノートルダム女子大学 |
研究代表者 |
山本 裕子 京都ノートルダム女子大学, 人間文化学部, 准教授 (80545377)
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キーワード | フォト・テクスト |
研究概要 |
米国モダニズム文学とドキュメンタリー写真との相互影響関係を実証するという本研究の目的を達成するために、平成25年度は、主に基礎資料の収集とその読解・検討に加えて、米国ニューヨークにおいて、メトロポリタン美術館所蔵のウォーカー・エヴァンズ・スペシャルコレクションのアーカイヴ調査を行った。特に、これまで研究者に看過されてきたウィリアム・フォークナーとウォーカー・エヴァンズの後期作品にみられる相互影響関係についての研究を進めた。 本アーカイヴ調査の過程においては、米国ロスアンジェルスのポール・ジェイ・ゲッティ美術館も同プロジェクトに関すると思われるコンタクトプリントを所蔵していることがわかり、平成26年度の夏季に再度アーカイヴ調査をする予定である。この調査結果とあわせてフォークナーとエヴァンズの50年代前後の後期作品を比較検討することにより、より実証的にモダニズム文学とドキュメンタリー写真との相互影響関係を解明することができると考えている。 本年度の調査研究により、従来は相互排他的であると考えられてきたハイ・モダニズム作家とドキュメンタリー写真家との知られざる接点が明らかとなり、モダニズム/ドキュメンタリーの再定義の必要性を提言することが可能となった。また、これまで看過されてきたモダニスト作家と写真家との共同作品「フォト・テクスト」を研究対象に据えることにより、埋もれていた作品の再評価へと繋げることができたと考える。本研究の最終的な目的は、米国モダニズム文学とドキュメンタリー写真との相互影響関係を実証することであるが、本年度のアーカイヴ調査において、モダニズムの変容とフォト・ジャーナリズムの発展を、別個の現象としてではなく互いに影響・補完しあう「統一の」文化現象として読み直しを図る重要な足がかりができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本採択課題においては、3年間の研究期間のうち、2年間はFSA写真を用いたフォト・テクスト研究に従事し、最後1年は、研究の集大成として、フォークナーとエヴァンズの後期作品にみられる相互影響関係を明らかにする予定であった。当初の予定とは異なり、昨年に引き続き本年度フォークナーとエヴァンズの後期作品についての研究を進めることとなったうえ、今後より広範囲にわたる調査が必要であることが判明している。 複数のモダニスト作家と写真家とのコラボレーションを射程にした研究の進捗という点においては遅れていると言えるが、フォークナーとエヴァンズとの相互関係に関する研究においては、当初の予想をはるかに超える研究成果がでている。本研究においては、モダニズムとドキュメンタリー写真との相互影響関係を考察するとした当初の研究目的を達成できており、研究は順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、平成24年度に進めたフォークナーとエヴァンズの後期作品についての研究の仕上げのため、米国ゲティ美術館と議会図書館でのアーカイヴ調査を実施したうえで、論文化を進める。これと同時に、CaldwellとBourke-Whiteの合作_You Have Seen Their Faces_(1937)とAgeeとEvansの合作_Let Us Now Praise Famous Men_(1941)に関する資料収集を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、平成24年度に進めたフォークナーとエヴァンズの後期作品についての研究のため、メトロポリタン美術館での調査研究を行った。夏季期間にいくはずであったが、予定の調整がつかず春季かつ短期間の滞在にて調査を行ったため、予定よりも差額が生じた。 平成26年度は、平成24年度に進めたフォークナーとエヴァンズの後期作品についての研究の仕上げのため、米国ゲティ美術館と議会図書館でのアーカイヴ調査を実施する予定であり、その旅費・滞在費を使用する予定である。本研究の論文化に必要な図書・資料費にも使用する。 これと並行して、CaldwellとBourke-Whiteの合作You Have Seen Their Faces (1937)とAgeeとEvansの合作Let Us Now Praise Famous Men (1941)に関する資料収集を進める予定であり、図書・通信費・収集旅費に使用する予定である。
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