研究概要 |
24年度の研究実施計画のうち、出版されている初期作品を読み進めることと、未出版の初期作品原稿を収集することについては、概ね達成できた。具体的には、今年度はまず、Christine AlexanderのThe Early Writings of Charlotte Bronteや岩上はる子氏の『ブロンテ初期作品の世界』を参考にしながら、AlexanderやWiseの編纂した初期作品集に収録されているシャーロット・ブロンテの初期作品群の中から、語りの技法や形式という点で特に注目に値すると思われる作品を優先的に読み進めていき(“The Poetaster,”“The Foundling,”“The Secret,”“The Green Dwarf,”“A Leaf from an Unopened Volume,”“A Peep into a Picture Book,”“The Spell,”“Mina Laury”等)、その後2月に、未出版初期作品の原稿を閲覧するため、Bronte Parsonage Museum、リーズ大学図書館、大英図書館を訪れ、資料収集を行った。なお、この時、Bronte Parsonage Museumにおいて、思いがけず、刊行された4つの小説の破棄された断片(特に小説の書き出し部分)が保管されていることを知り、それらの草稿もあわせて閲覧することができたのは、25、26年度で、シャーロット・ブロンテ文学全体における一人称小説の形成と発展を考察する際に役立つと思われる大きな収穫であった。またこの調査出張では、ブランウェル・ブロンテの直筆草稿や未刊行初期作品を確認し必要な情報を収集することもできた。この成果についても、次年度以降に論文として発表する予定である。
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