研究課題/領域番号 |
24720140
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研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
馬渕 恵里 関西外国語大学, 外国語学部, 講師 (00612912)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | シャーロット・ブロンテ / 初期作品 |
研究実績の概要 |
平成25年度末から引き続き、"Blackwood's Young Men's Magazine"や"Young Men's Magazine"に収められた、シャーロット・ブロンテの最も初期の草稿の分析を進めた。その後、平成25年10月に開催された阪大英文学会第46回大会での口頭発表をもとに、初期作品全体における語りの特質やその変遷を再考し、論文にまとめた。この論考は、『阪大英文学会叢書8 英語のデザインを読む』に収録されており、27年度中に刊行予定である。さらにこれに並行して、初期作品でシャーロットが用いていたペンネームでありペルソナであるチャールズ・ウェルズリー(タウンシェンド)を切り口に、習作時代のシャーロットの創作意識や物語形式などを考察した。この論文は、「男性」をキーワードにブロンテ姉妹とその作品を論じた論文集『ブロンテ姉妹と男たち』に収録される運びとなった。 また、25年度に執筆した「創作の軌跡が示す『語り』の探究――『教授』と『ジェイン・エア』の草稿をめぐって」(英国調査で収集したシャーロットの草稿に関する論考)が収められた論文集『石田久教授喜寿記念論文集 イギリス文学と文化のエートスとコンストラクション』が8月に出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度までに発生した遅れに加え、産前産後の休暇ならびに育児休業の取得にともない研究が中断したため。
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今後の研究の推進方策 |
研究の再開後は、26年度に予定していた研究のうち未着手となっている、シャーロット・ブロンテの一人称語り・形式と18世紀書簡体小説の語りの技法や形式との関連性についての研究を進める。研究の中断により、書簡体小説に関する資料の調査・収集も不十分なままとなっているため、まずは必要な資料の準備から始め、シャーロットの初期作品にみられる語りの形式や特質を意識しながら、書簡体小説とその形式について考察する。書簡体小説とその形式についての研究だけでも相当な作業が予想されるが、翌年度以降に関連学会で発表できるよう、シャーロットの作品や、さらには他の19世紀小説との関連性を明らかにするための何らかの糸口を掴みたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
産前産後の休暇および育児休業の取得により年度途中で研究を中断したため。加えて、産前休暇に入る前より、当初予定していた国内外への出張を複数取りやめざるを得なかったため、旅費と調査時に現地で必要となる複写費等の諸経費が生じなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
遠方への調査出張が困難であるため、国内外から必要な資料を取り寄せる費用にあてる。また、18世紀書簡体小説に関する資料・書籍を新たに購入・取り寄せる。 加えて、次年度が最終年度となるため、これまでに収集した初期作品関連の書籍や各種資料・文献の保存や管理を行うための環境整備に使用する(例:外付けハードディスクやScansnapの購入など)。
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