研究課題/領域番号 |
24720140
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研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
馬渕 恵里 関西外国語大学, 外国語学部, 准教授 (00612912)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | シャーロット・ブロンテ / 初期作品 |
研究実績の概要 |
昨年度までに、1829年から1840年頃にかけて執筆されたシャーロット・ブロンテの初期作品を1つずつ読み進めて分析し、初期作品の語りの技法・特質とその変遷を体系的に考察してきたが、習作時代の末期に書かれた"four years ago"と呼ばれる未出版の草稿にはしっかりと目を通すことができていなかった。世界で唯一その筆写原稿(シャーロットの手による直筆原稿は長らく所在不明)を所有するBronte Parsonage Museumの厚意と協力により、現地へ赴き閲覧することが困難であるなか、貴重な筆写原稿を入手し全文を確認することができ、シャーロットの初期作品全体における語りの技法・特質とその変容に関するこれまでの分析を補強することができた。 またそれと並行して、本研究のもう1つの柱である、18世紀書簡体小説に関する基礎研究に着手した。18世紀書簡体小説についての資料・書籍の収集に加えて、本研究課題を遂行するうえで参考になると思われる、18世紀以前または19世紀以後に書かれた一人称小説についての文献や、物語の「語り」に関する文献などの調査・収集を行った。ただし、年度途中で研究を中断することになり、18世紀書簡体小説についての研究を十分に進めることができなかった。研究再開後は、18世紀書簡体小説についての基礎研究をさらに続けながら、18世紀書簡体小説とシャーロットの一人称語り・形式との比較考察を行い、両者の、ひいては18世紀後半の一人称語りと19世紀ヴィクトリア朝の一人称語りの関連性や接合点を明らかにするという本研究の最終目標を少しでも達成できるよう、研究を進めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度までに発生した遅れに加え、今年度、産前・産後休暇にともなう研究中断等によりさらなる遅れが生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
現在、書簡体小説とその形式に関する調査・研究がまだ不十分であるため、書簡体小説に関する資料の調査・収集を引き続き行いながら、とくに18世紀書簡体小説についての研究をさらに進める。そのうえで、昨年度までに明らかとなったシャーロット・ブロンテの初期作品にみられる語りの形式や特徴ならびにその変容過程をふまえて、シャーロットの一人称語り・形式と18世紀書簡体小説との関連を考察する。平成31年度以降に関連学会等で成果を発表できるよう、最終年度となる1年間で可能な限り研究を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
産前休暇に入る前より、当初予定していた国内出張を取りやめざるをえなくなったことと、年度初めの計画通りに研究を遂行することが困難となったため、資料収集や書籍代、ならびにデータ保存・保管のための電子機器購入費として計上していた予算が余ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
遠方への調査出張が困難であるため、国内外から必要な資料を取り寄せる費用にあてるほか、現在まだ入手できていない18世紀書簡体小説に関する資料・書籍を購入・取り寄せる。 また、研究成果を効率的・効果的に発表するのに必要な電子機器や、これまでに収集した初期作品関連の書籍や各種資料・文献の保存や管理を行うための環境整備に使用する。
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