研究課題
若手研究(B)
1829年から40年にかけての習作時代に執筆されたC.ブロンテの初期作品のうち所在不明の原稿を除く全作品に目を通し(未出版の原稿は英国の所蔵先で閲覧)、初期作品全体における語りの技法、形式、その特質およびそれらの発展・変容過程について、公刊された小説とも関連づけながら体系的な分析と考察を行った。また、C.ブロンテの一人称語りの技法と18世紀書簡体小説との関連性を探るために、18世紀書簡体小説に関する資料を収集して知識と理解を深めた。
英文学
C.ブロンテの初期作品に関する研究は十分に進んでいるとはいえないなか、習作時代のC.ブロンテの物語や物語創作に対する意識とその変化もふまえながら、初期作品における語りの技法・形式の形成と発展の全体像を明らかにし、公刊された3小説で用いられている自伝体形式へと至る流れを提示できたことは、特に小説技法や形式の点で、初期作品のみならずC.ブロンテの作品研究全体の更なる発展にささやかながらも貢献できたものと思われる。