研究課題/領域番号 |
24720141
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
西垣 佐理 近畿大学, 農学部, 講師 (00581042)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ヴィクトリア朝文学 / 医療表象 / 看護 |
研究概要 |
今年度はイギリスでの現地取材を中心とし、対象作家ゆかりの地を訪問することで看護の文化的背景や文学との関連をつかむことに主眼を置いた。今年度の目的だったオリーブ・シュライナーの作品研究のみならず、フローレンス・ナイティンゲールやクレオール出身の看護師メアリー・シーコールの調査などが捗った。シュライナー文学における看護のあり方が当初計画していたブロンテ姉妹、特にエミリー・ブロンテの『嵐が丘』とかなり相関性が高いと判明したため、別個に研究するのではなく、二つの作品を結びつけた研究を行う方向で現在文献および情報収集に当たっている。 さらに、現地取材の結果、エリザベス・ギャスケルの短編「マーサ・プレストン」とウィリアム・ワーズワースの作品の関連も見えてきたため、そちらの研究も平行して行うことにした。 二つの論考を同時に進めることは難しいが、折良くギャスケルの方で論文公募の話があり成果発表の場につながる可能性が高いため、こちらの方を優先して行うことに決定し、現在資料・文献収集に当たっているところである。 また、今年度はディケンズ生誕二百年ということで『ニコラス・ニクルビー』と暴力の関係についての論考を仕上げ、「『ニコラス・ニクルビー』喜劇としての暴力-舞台と社会の間」と題して『ディケンズ文学における暴力とその変奏-生誕二百年記念-』(松岡光治編・大阪教育図書)に発表した。その意味では非常に多様な研究を行うことができたと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記に記したとおり、研究の多様性が広がった結果、探すべき資料および情報量が数多くなったのと、共著の仕事が入ったためにそちらの方に研究時間をある程度取られてしまったこともあり、本来の研究に取り組む時間が減ってしまった。 さらに、妊娠が判明したことで、身体的に研究を遂行することが若干難しい状況となった。
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今後の研究の推進方策 |
論文公募が出ているエリザベス・ギャスケルとワーズワースの作品研究を来年度は推し進め、論文が完成した後に応募、採用された場合はそちらを先に発表という形をとっていくことにする。ただし、こちらは平成26年度の締め切り、平成27年度発表予定となるため、かなりの時間を要することになる。 その後極力速やかに当初取り組んでいたオリーブ・シュライナーとエミリー・ブロンテの比較研究の方に進み、まずは学会発表を目指して資料・情報収集の後原稿執筆に取りかかる予定である。 ただし、先にも述べたとおり来年度は出産・育児休暇を挟むため、研究の進捗が遅れてしまうことは不可避である。育児休暇終了後速やかに研究に復帰したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度も引き続き海外取材を通じて資料・情報収集に当たるとともに、必要資料を適宜購入予定としている。特にヴィクトリア朝の医療に関する歴史および文学との関連を示した資料を中心に購入予定としたいが、次年度は出産・育児休暇取得のため、これらの遂行は育児休暇取得後となる予定である。
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