今年度は、ロシア現代詩人であり美術作家であるドミートリー・プリゴフの研究を進めると同時に、現代作家ターニャ・バダニナ、ウラジーミル・ナセトキンのテクスト、作品を研究し、論文「空への階段――ターニャ・バダニナの芸術」、「大地の作家――ウラジーミル・ナセトキン」を発表した。(論文を執筆するために、両作家に9月、11月にモスクワでインタビューを行い、アトリエで旧作と新作を分析し、10月には来日した両作家と共にロシアにおける日本文化の受容について共同討議を行った。)9月のロシア現代美術の調査結果は、「連続する過去と現在 ロシアで現代美術展〈マニフェスタ10〉」(『読売新聞』2014年10月9日)としても報告を行った。 ロシアの研究者との共同討議を行い、千葉大学人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書『文学と歴史――表象と語り』を編集して刊行した。 ロシアの現代映画については、従来の研究に新たな事例を追加し、研究ノート「新生ロシア映画におけるチェチェンの表象」を発表した。 一方で、研究の成果としての翻訳として、現代詩人キリル・メドヴェージェフ「ぼくのファシズム(真理をいくつか)」を共訳し、レオニート・チシコフ『かぜをひいたおつきさま』(単訳)を出版した。 5月に行ったイリヤ・カバコフ調査の成果は、次年度に発表予定である。なお、前年度に執筆し、今年度に修正を行ったカタログ評「『松本瑠樹コレクション ユートピアを求めて ポスターに見るロシア・アヴァンギャルドとソヴィエト・モダニズム』」が『ロシア語ロシア文学研究』第46号に掲載された。
|