研究課題/領域番号 |
24720149
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
平松 潤奈 金沢大学, 外国語教育研究センター, 准教授 (60600814)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 新経済批評 |
研究実績の概要 |
今年度は、8月に千葉市で開催された中欧・東欧研究国際協議会(ICCEES; International Council for Central and East European Studies)第9回世界大会において、本研究課題をめぐるパネル “Soviet Literary-Economic Resonances and the Quest for an Image of Man” を組織した。発表者として、マイケル・ニコルソン(報告題目 “Of Potatoes and Men: ‘Free’ Enterprise in Oleg Pavlov’s Gulag Grotesque Kazennaya skazka”)とロバート・ハリス(報告題目“Squeezing Water from a Rock: Post-War Stalinist Interpretation of Property and Exchange in the Socialist Theory of A.I. Herzen”)を本研究費により招聘し、研究代表者も “Money, Body, Language: Mediums of Exchange in A.Platonov’s Chevengur” のタイトルで発表をおこなった。討論者は、ロシアの若い世代を代表する政治哲学者アルテミー・マグーン(サンクトペテルブルグ・ヨーロッパ大学)に依頼し、貴重な助言をもらった。 このパネルにおいて寄せられた意見をもとに、年度後半には、ロシア革命前から1920年代のマルクス主義における交換理論や商品フェティシズム論について調べ、それがスターリン統治期前半のソ連文学に与えた影響を、A・プラトーノフを中心に検討した。 また、スターリン期ソ連の公式文学のカノンとなったM・ショーロホフ『静かなドン』についてのロシア語の論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、今年度はスターリン期後半の文学を検討する予定だったが、ICCEES世界大会における成果発表に際して、スターリン期前半の経済思想について有益な示唆が得られたため、この時期に関する調査を継続しておこない、補助事業期間を延長することとした。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度には、スターリン期前半のA・プラトーノフの作品を分析した論文を完成させる予定である。また、後期ソ連文学に関して論文を書く予定にしており、スターリン期後半以降の文学において所有と交換の表象がどのように変化したかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度までに完了を予定していた範囲について、成果発表の場で有益な知見が得られたため、研究を継続し、補助事業期間を延長する必要が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度までの研究成果をまとめた論文執筆のための資料収集、英文校閲に支出するほか、2015年度に実施できなかった範囲の調査研究に使用する。
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