本研究は、新経済批評の観点から、「交換」の概念を基軸に、(当初の計画を拡大し)1920年代から1970年代のソヴィエト文学の重要作品を分析し、交換形式と「ソヴィエト的主体」の変容がどのように連動しているかを検討するものである。具体的には、A. プラトーノフ、M. ショーロホフ、A. ソルジェニーツィン、Yu. トリーフォフらの作品を同時代の政治・経済状況や経済的言説のなかに位置づけ、ソ連においては政治に従属したはずの経済的領域が、実際にはソヴィエト的主体性の形成に深くかかわっていたことを論じた。
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