本研究はフェデリコ・ガルシア・ロルカ(1898~1936年)の日本における作品受容についての初めての体系的研究である。具体的には日本で出版されたロルカに関する出版物を参照しながら戯曲を中心に、1)受容を概観し需要を推し進めた要因について検討し、2)日本人読者が何を期待して作品を読み、解釈したかについて考察した。その結果、1)については①スペイン国外で作品が高い評価を受けていたこと、②新劇の劇団による戯曲の上演、③『ロルカ選集』の刊行の3点が指摘できた。2)については、日本人読者がロルカ戯曲の①スタイルの新しさ、②詩的言語、③スペイン性、④悲劇的世界観に特に魅力を感じていることが明らかになった。
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