本研究の成果として主に二つのものをあげることができる。1)ディドロの非人間的概念が現代の哲学に対して持ちうる有効な射程を確認することができた。2)18世紀を中心的背景とした歴史的な読解においても、ディドロの思想がもつ独自の意味を提起することができた。1)については、リオタールの「非人間的概念」の中核にあるディドロの唯物論の有効性を人間技術との関係において明らかにすることができた。2)についても、当時主流であった奢侈についての議論に加えて、ディドロが自らの哲学の固有性として「貧なるもの」の可能性を担保していたことが明らかとなった。
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