研究課題/領域番号 |
24720161
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
西岡 亜紀 お茶の水女子大学, 比較日本学教育研究センター, 客員研究員 (70456276)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 日仏比較文化 / 日仏比較文学 / 福永武彦 / 日本文学 / ネットワーク |
研究概要 |
平成24年度は、国内外への成果公表とその準備のための追加調査につとめた。多分野の研究者からの学会や論集などにおける成果の公表の依頼が想定よりも多かったため(次年度以降に予定していた成果報告を先駆けて行なう必要も生じた)、年度を通して、それに伴う調査・執筆・編集を継続的に行った。主な成果は以下の通り。 4月、昭和文学会研究集会「特集:戦後作家と翻訳」にて研究発表(「福永武人とボードレール翻訳」)。11月、国際日本学会(IAJS)にて研究発表(" The Role of Missionaries in Foreign Language Education in Modern Japan: From Nagasaki to the Imperial University "、英語)。12月、共編著『福永武彦を語る 2009~2012』を刊行(5~10月編集)。25年2月刊行の、海老根龍介・福田耕介編『異文化の中の日本文学』(白百合女子大学アウリオン叢書第11号)に寄稿(「死者の記憶を紡ぐ文学-一九三〇~四〇年代の若手文学者の知的ネットワーク」)。共訳書『詩人の世界-ロートレアモンの場合』(福永武彦の仏語卒業論文の翻訳)の草案を完成させ、出版交渉に至った。 また、以上と並行して、次年度に継続する成果発表のための準備も行った。25年度7月にお茶の水女子大学にて開催予定の第15回国際日本学シンポジウム「フランスへの憧れ-生活・芸術・思想の日仏比較」の講演者や招へい研究者との打合せ、25年度7月にパリ・ソルボンヌ大学にて開催予定の国際比較文学会(ICLA)における研究発表のエントリ-(仏語、承諾済)、25年度刊行予定の近代の学問生成に関する論集の原稿執筆(脱稿)などにかなりの時間を割いた。また、図書を購入した。 なお、時間と経費の都合から、国内の地方調査は次年度以降に繰り越した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多岐にわたる分野の研究者からの学会や論集などにおける成果公表の招聘や執筆依頼が想定よりもあったため、年度を通して、国内外への成果公表とその準備のための追加調査や出張を、精力的に行うことができた。外部との関係から、「成果発表を早める・成果公表の対象を広げる」「テーマや調査範囲を広げる」等の若干の変更はあったが、最終目標である著書の執筆準備には、かなり実り豊かな活動ができた。よって全体としては、「おおむね順調に進展している」といえる。 ①外部からの依頼に応え、次年度に行う予定であった成果発表を先に行う、国際会議にエントリーする、といった事態が生じたため、その準備に時間の多くを割いた ②①の準備の段階でテーマが広がり、新たに調べることが生じたため、次年度以降に海外で予定していた出張旅費を多めに算出する必要が生じた ③以上を踏まえて、時間と経費の調整のために、今年度の地方での調査は次年度以降に繰り越すことにした。代替手段として、現地にいる研究協力者に資料や情報の提供を求めたが、いずれも行政関係者であったため謝金は発生しなかった。なお、国内の地方での追加調査は、次年度の海外調査の内容も踏まえて対象やテーマをさらに絞り込み、効率をあげる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
24年度に引き続き、国内外での成果公表と調査につとめる。さらに、それを踏まえて『死の島』論執筆のアウトラインの構想に取りかかる。 成果公表について既に決まっている予定は次の通り。①25年度7月6・7日、お茶の水女子大学にて開催の第15回国際日本学シンポジウム「フランスへの憧れ-生活・芸術・思想の日仏比較」の企画・運営及び研究発表(「宣教師が運んだフランス-長崎・築地・横浜の近代-」)②25年度7月24日、パリ・ソルボンヌ大学にて開催の国際比較文学会(ICLA)における研究発表(仏語)③9月、白百合女子大学大学院オムニバス講義「全体と部分-文学・思想・美術」にて「社会のなかの個人の死-福永武彦『死の島』と同時代の絆-」の講演 ④近代の学問に関する共著の刊行(脱稿) ⑤共訳『詩人の世界-ロートレアモンの場合』(福永武彦の仏語卒業論文の翻訳)の公表(雑誌掲載と出版の交渉中) 調査では、上記の②と併せたパリ調査、長崎・長野・広島などにおける国内地方調査、継続的に行っている関東圏の教育機関や遺族などへの調査を進め、福永武彦とその同時代の文学者の交友関係とそこから現在につながる人脈と明らかにする。また、福永武彦を軸として縦につながる150年の日仏の文化や学問の交流関係を、日本国内やフランスの機関や資料を辿りつつ明らかにしていく。なおこれは、24年度の活動により、新たに明らかに掘り下げが必要になった点である。
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次年度の研究費の使用計画 |
主な用途は以下の3点である。 ①25年度7月の国際比較文学会(ICLA)のためのフランス出張とそれと併せたパリ日仏文化会館やソルボンヌ大学や国会図書館等の諸機関における調査のための海外旅費。②長崎・長野・広島などにおける国内調査旅費。③都内の図書館や資料館や大学などにおける複写代・資料作成費等の雑費。既に確定している成果公表のための準備費用。
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